Pythonを学ぶ(1) 導入と日本語化

梅谷 武
作成:2003-05-06 更新:2005-04-20
Pythonの導入と日本語化の手順を記す。
20030506001; NDC:007.64; keywords:Python;
目  次
1. はじめに
2. 導入と日本語化
3. numarrayパッケージの導入
参考文献
1. はじめに
 システム設計のための試作を行なう、短時間でのちょっとした算譜(program)を作る、様々なテキストを統一した手法で処理する、システムへ組み込むための専用言語を作成する、数値計算や離散信号処理のシミュレーションを行なうというような作業すべてを単一言語の枠組みで取り扱うことはできないだろうかと以前から考えていました。
 1995年頃にTcl/Tkを使って試行錯誤したこともありましたが、そのときはTcl/Tkでこういうことを実現するのは難しいだろうという結論に至りました。
 2003年にPythonについて調べる機会がありましたが、そのときひょっとしてこれは探し求めていたものにかなり近いのではないかと気がつきました。数ある作譜言語(programming language)の中でなぜPythonなのかということを明確に説明することは難しいのですが、これはいいと感じた点を思いつくままにあげてみます。
 このような経緯でPythonを学び始めたのですが、実際に使ってみると思っていた以上によくできているではありませんか。そこで一度はあきらめかけていた作譜言語統一の試みにもう一度挑戦してみようと思い立ったわけです。「Pythonを学ぶ」はPythonを使っていろいろなことを実際にやってみて、体験的な学習を行いながらその可能性を探っていくというものです。今のところ次のような主題を取り扱ってみようと考えています。
使用する環境
 次のような環境で作業することを前提として話を進めます。
2. 導入と日本語化
Step 1:日本語環境用インストーラの実行
 日本語化されたPythonを導入するには、PyJUG(日本Pythonユーザ会)からPython 日本語環境用インストーラ(Win32):python23jp-20030906.exeをダウンロードして実行します。これはPython2.3に次のような修正を加えたものです。通常はこれで十分なのですが、さらに識別子(Identifier)としてSJIS文字を許容するように変更しておきます。これはプログラムの可読性を高めるために行なうものですが、人により好みが分かれるところですので必ずしもこの変更を行なう必要はありません。
Step 2:ソースのダウンロード
 PyJUG(日本Pythonユーザ会)からPython-2.3.tgzをダウンロードし、適当なディレクトリへ解凍します。
C:\usr\local>tar xvfz Python-2.3.tgz
Step 3:日本語化パッチ
 日本語環境用インストーラによりコピーされたディレクトリの中に日本語化パッチが入っていますのでそれをあてます。
C:\usr\local>patch < Python23jp\jp\sjis.patch.2.3
この状態でさらにこのパッチをあてます。
C:\usr\local>patch < Python-2.3-sjis.patch
Step 4:python23.dllの作成
 VC++用のプロジェクトファイル:Python-2.3\PCbuild\pcbuild.dswを使ってpythoncoreをメイクします。このときプリプロセッサでSJISを定義することに注意してください。できあがったpython23.dllはC:WINDOWS\system32にコピーされているものと置き換えます。VC++をお持ちでない方のためにこのdllをここに置いておきます。
Step 5: 動作確認
 例えば次のようにします。
C:\usr\local\Python23jp>python
Python 2.3 (#46, Apr 21 2004, 10:26:20) [MSC v.1200 32 bit (Intel)] on win32
Type "help", "copyright", "credits" or "license" for more information.
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3. numarrayパッケージの導入
 今後、いろいろな数値計算を行うためにnumarrayパッケージを導入しておきます。我々の環境ではnumarray-0.9.win32-py2.3.exeをダウンロードして実行するだけです。ついでにチュートリアル:numarray-0.9.pdfもダウンロードしておきましょう。
参考文献
Python
[P1] A.マーテリ, Pythonクィックリファレンス, オライリー・ジャパン, 2004