自然数
著者:梅谷 武
語句:数,和,加算,差,減算,積,乗算,商,除算,剰余,倍数,約数
自然数の定義と性質。
作成:2006-04-10
更新:2013-06-14
 数はさまざまな物がどのくらいあるかを計るために作られました。その物を計る単位を1と呼びます。ある物を計るには、その物から単位となるものを取り去ることができたなら1と数え、もしさらに単位を取り去ることができたなら数を+1するという操作を繰り返します。このようにして単位が取り去ることができなくなった時の数1 + 1 + ⋯ + 1がその物のかず, numberです。
 人類はこのような数を文字として表記するさまざまな方法を生み出してきましたが、現代社会で共通に使われているのは十をひとまとまりとして表記する十進法です。最初から九番目までの数に別々の記号を与え、
   1
   2 = 1+1
   3 = 1+1+1
   4 = 1+1+1+1
   5 = 1+1+1+1+1
   6 = 1+1+1+1+1+1
   7 = 1+1+1+1+1+1+1
   8 = 1+1+1+1+1+1+1+1
   9 = 1+1+1+1+1+1+1+1+1
十番目以降は何も無いこと意味する記号0を使って桁上げしていくのが数の十進表記です。
   10 = (1+1+1+1+1+1+1+1+1+1)
   11 = (1+1+1+1+1+1+1+1+1+1)+(1)
   12 = (1+1+1+1+1+1+1+1+1+1)+(1+1)
0も何も無いことを意味する特別な数と考えます。
 計るものが変化したときにそれに応じてその数も変化します。二つの物を一緒にしたとき、その数をそれぞれの数のわ, sumと呼び、二つの数からその和を計算することを加算かさん, additionといいます。ある物からその一部を取り去ったとき、その数をある物の数と取り去った部分の数のさ, differenceと呼び、二つの数からその差を計算することを減算げんざん, subtractionといいます。
 二つの物の数は比較することができます。二つの物を同時に数えていって一方が他方より先に数え終わったとき、最初に数え終わった方の数をn、他方の数をmとするとき、mnより大きい、もしくはnmより小さいといい、それぞれm > n、もしくはn < mと表します。同時に数え終わったときはn = mです。任意の数m,nに対して
m > n, m = n, m < n
のいずれかが成り立ちます。m > nまたはm = nのときm ≧ nm < nまたはm = nのときm ≦ nと書くことにします。
 加算はどんな二つの数に対しても計算することができて、任意の数l,m,nに対して
(可換律) m + n = n + m
(結合律) l + (m + n) = (l + m) + n
が成り立ちます。
 減算はある物からその一部を取り去るわけですから、取り去る数はある物の数よりも小さいか等しくなければなりません。ですからある物の数をm、取り去る数をnとするとき、m ≧ nでなければなりません。このとき差m-nを計算することができます。
 大きいものを計るときに単位を1からもっと大きいものにすると便利です。例えば5を単位として15を計ると3になります。
    5 =  1+1+1+1+1
   15 = (1+1+1+1+1)+(1+1+1+1+1)+(1+1+1+1+1)
このとき1553せき, productであるといい、このように二つの数からその積を計算することを乗算じょうざん, multiplicationといいます。また新しい単位で計った3155で割ったしょう, quotientといい、二つの数からその商を計算することを除算じょざん, divisionといいます。
 乗算はどんな二つの数に対しても計算することができて、任意の数l,m,nに対して
(可換律) mn = nm
(結合律) l(mn) = (lm)n
(分配律) l(m + n) = lm + ln
が成り立ちます。
 除算はある物を1より大きな単位で計ることですが、ちょうど計れることができる場合とそうでない場合があります。上の例のように5を単位とすると15はちょうど計れますが、16はそうではありません。
    5 =  1+1+1+1+1
   16 = (1+1+1+1+1)+(1+1+1+1+1)+(1+1+1+1+1)+1
単位53個取り去ることができますが、その後に1が余ってしまいます。このとき、155で割り切れるといい、165で割り切れないといいます。割り切れないときには余りがでます。余りのことを剰余じょうよ, remainderともいいます。余りを許せばどんな二つの数に対しても除算を計算することができます。任意の数m,nに対してmnで割った商をq、その余りをrとすると次の式が成り立ちます。
m = qn + r, 0 ≦ q, 0 ≦ r < n
mnでちょうど割り切れるとき、mn倍数ばいすう, multipleである、あるいはnm約数やくすう, divisorであるといい、n|mと書くことにします。
[1] 中村幸四郎, 伊東俊太郎, 寺阪英孝, 池田美恵 訳, ユークリッド原論, 共立出版, 1996
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数  学
かず, number
ユークリッド原論第VII巻の冒頭に数がこのように定義されている。
わ, sum
加算 かさん, addition
さ, difference
減算 げんざん, subtraction
せき, product
乗算 じょうざん, multiplication
しょう, quotient
除算 じょざん, division
剰余 じょうよ, remainder
倍数 ばいすう, multiple
約数 やくすう, divisor
 
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