6.8節 射影幾何
著者:梅谷 武
語句:アフィン空間, 無限遠平面, 射影空間
射影空間とその上の射影変換群について述べる。
作成:2009-09-17
更新:2021-03-28
 同時には0にならない四つの実数の組の集合を考えます。
lc144 lb144
x1
x2
x3
x4
rb144 mid144 lb144
x1
x2
x3
x4
rb144lb144
0
0
0
0
rb144,  x1,x2,x3,x4 rc144
この集合を次のような同値関係で分類します。
lb144
x1
x2
x3
x4
rb144lb144
y1
y2
y3
y4
rb144lb144
x1
x2
x3
x4
rb144 = s lb144
y1
y2
y3
y4
rb144 ,  s ∈ ×
この同値類を
la144
x1
x2
x3
x4
ra144
で表わすことにします。第4成分が0でない同値類全体は
A3 := lc144 la144
x1
x2
x3
1
ra144 mid144 x1,x2,x3 rc144
と表現することができます。これは平面と同じものが埋め込まれているとみなすことができ、アフィン空間あふぃんくかん, affine spaceと呼ばれます。第4成分が0の同値類は
la144
x1
x2
x3
0
ra144
と表現することができ、この全体は射影平面P2と同じもので、無限遠平面むげんえんへいめん, plane at infinityと呼びます。この同値類全体の集合
P3 := A3P2
射影空間しゃえいくうかん, projective spaceと呼びます。
 射影空間P3には一般線形群GL(4,)が作用します。
lc144 aE4 = lb144
a
0
0
0
0
a
0
0
0
0
a
0
0
0
0
a
rb144 mid144 a ∈ × rc144
は射影空間上の恒等変換を引き起こしますから
PGL(4,) := GL(4,) / ×
を射影空間P3上の射影変換群と呼ぶことにします。これはSL(4,)をその中心で剰余したもの
PSL(4,) := SL(4,) / { E4, -E4 }
に同型です。

定理6.8.2.2 射影変換群の一意性

射影変換群PGL(4,)は次の条件を満たし、かつこれらの条件を満たす変換群はこれ以外に存在しない。
(1) 射影平面P3に推移的に作用する。
(2) 射影直線を射影直線に写し、複比を保存する。
(3) 無限遠平面の固定部分群はアフィン平面上のアフィン変換群Affine(A3)に一致する。

証明

略■
 さまざまな立体幾何の変換群の包含関係は次のようになりました。
 
 
射影幾何:PGL(4,)
 
 
 
 
 
 
 
 
アフィン幾何:Affine(U)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
等積幾何:Equiv(U)
相似幾何:Similar(U)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
合同幾何:Cong(U)
 
 
 
 
 
 
 
 
運動幾何:Motion(U)
 
 
[1] 伊原 信一郎, 河田 敬義, 線型空間・アフィン幾何 (岩波基礎数学選書), 岩波書店, 1997
数  学
アフィン空間 あふぃんくかん, affine space
無限遠平面 むげんえんへいめん, plane at infinity
射影空間 しゃえいくうかん, projective space
 
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